最高の爽快感!?、それとも恐怖感!? デッキの段差に腰掛けての2時間半

32Count

2013年08月18日 21:00

関西から夜行列車を使って移動してきたので、野辺山の撮影地には一番で到着しました。

今日のようにインターネットが無い時代、撮影場所はほぼ当てずっぽう、

小諸方に少し歩くと、お誂え向きに切り通しでカーブがあったので、ここでカメラを構えたのですが、

あれよあれよと前には人だかりで埋まり、蒸気機関車の通過時はものの見事な鉄ちゃん入りの、しかもまったく煙のない写真が完成しましたが、

人の服装などを見るにつけ、1973年当時が蘇り、今ではこれはこれでありかと、思います。
この特別列車、野辺山駅で長時間停車するので、最高地点寄りに移動して、上り列車の2カット目は天狗岳をバックに撮りました。

野辺山駅に戻り、循環急行「のべやま」で小淵沢まで乗車したのですが、

この時、既にかなり疲れがピークに達しており、SLの小淵沢出発が頭にあったものの、

ちょうど中央本線の上りホームには遅れて到着し、旧型客車で組成された「たてしな51」号の姿を見つけてしまい、

渡りに舟と思い予定を変更して飛び乗ったのでした。

しかし、

これが夏の繁忙期の日曜日(だったかな!?)と重なり、デッキから車内に入ることすらできず、

苦肉の策として、扉のステップの段差に腰掛けて、手すりに手を掛けて八王子までの約2時間半を過ごすことになりました。

若い世代の方は信じられないと思いますが、扉の開閉がすべて手動で行われていた旧型客車、走行中も扉は開放されたまま、ということもこの時代は珍しくなく、

場所は遠く離れますが、山陽本線の支線・和田岬線のオハ64が健在なりし頃の朝の通勤では、まさに乗客がデッキにぶら下がっている写真をよく目にしました。

しかし、こちらは本線のまがりなりにも急行列車、

100km/h近くで走る列車の、デッキでの乗り心地は、もう筆舌に尽くせないほど(爆)。

風を受ける爽快感、疾走感は、きょうびのトロッコ列車では味わえません!

しかも複線区間の内側なだけに対向列車がすれ違うとその風圧の凄さはハンパではありませんでした。

この日は晴天で、おそらくは遠くには南アルプスの山並みが広がっていたのでしょう、

しかし、近くを見ると、下り線の線路がまさに二条の線となり、バラストは流れて見えて土色でした。

駅通過時はプラットホームが迫ってきて、それはそれはスピード感ありました(笑)。

意外にもそれほどの恐怖感が無かったと記憶しているには何故でしょう?

最初はもの珍しさからとても興味津々でこの稀有な体験を満喫していましたが、

そのうち睡魔が襲ってきて、うとうとと舟を濃いでしまうことに陥ったのですが、

それに気がついた隣の人が肩を叩いてくれて、ふと我に帰り、最悪の事態を免れたものの、

それでも疲れがピークに達し、笹子トンネルの中では少し眠ったかもしれません。

そして、夕刻、無事に八王子駅のプラットホームに立つことができました。

今では夕方のニュースを賑わすかもしれない事実なのですが、昭和の、高度成長期の国鉄と、それを利用する人もなんともおおらかでした。

一昨日(8/16)、久しぶりに横川からスハフ32に同乗する機会に恵まれ、全開した狭窓から線路を眺めていると、そんな40年前の記憶が蘇ったのでした。
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