西武安比奈線の印象
川越で蔵の町並みや「時の鐘」界隈を散策した後、西武新宿線をひと駅ほど戻った南大塚駅へ。
かねてから訪れてみたかった西武安比奈(あひな)線跡を辿ることにしました。
NHK朝の連ドラ「つばさ」のタイトルバックでは写実的なカットが使われており、カメラマンの端くれとしては、撮りがいのありそうなシチュエーション、そんな写欲に後押しされての訪問でした。
西武安比奈線は入間川の砂利を運ぶために大正年間、南大塚〜安比奈間の3.2kmが敷設された貨物線ですが、1967年に砂利採取が禁止されると同時に列車の運行は休止となり現在に至っています。(Wikipedia参照)
線路跡は所沢寄りで本線と分岐し、プラットホームを過ぎると、すぐさま左に大きくカーブして安比奈を目指します。
ほどなく国道16号線を横切り、しばらくは住宅地の中を行きますが、それもつかの間。
田んぼが広がるのどかな光景の中を線路が突っ切っています。
あくまでも休止扱いなので、線路や架線柱は今なお、昭和42年当時の姿が残されているものの、40年以上も放置されたままなので、場所によっては朽ち果てて自然に還ろうとしています。
廃墟の美学とでもいうのでしょうか、そんなトワイライトな情景がそこかしこで出合うことができました。
電化ポールは木製で、そのあたりに昭和の香りを感じさせてくれます。
この光景にはかつて在籍した凸型の電気機関車「E21」あたりが数両の無蓋車を引っ張ってくるのが似合いそうでした。
田んぼが尽きる向こうには、こんもりとした雑木林があり、線路はその中に突入!
このあたりがこの路線のハイライトと言うべき所で、線路の両側が雑木林に覆われ、奥を見通すと、まさに緑のトンネル状態。
こんなロケーションで列車を捉えることができたら、どんなにいいか、などと想像すると、ほどなく「つばさ」のロケ地へと到達しました。
緩く線路がカーブする光景は、タイトルバックの場所?などと想像しながら歩くと、線路上には1台のトロッコが置かれていました。
撮影で使われたトロッコ?
2軸台車の、見ようによっては鉄道車両とも捉えられなくもない物件はいささかの不意打ちをくらいました。
今回は緑の濃い時期での訪問でしたが、葉が紅葉する秋の終わり頃や新緑の時期も、さぞかし綺麗だろうな、と思いつつ、現場を後に再び南大塚駅に向かってとぼとぼ歩き始めました。
*西武鉄道安比奈線にて(埼玉県川越市)
Lumix
2009.8.4撮影
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