黒部峡谷鉄道、冬じまいに備えて 後編

32Count

2009年12月25日 23:00

▼ウド谷を渡る作業列車。編成は来た時と逆になっているのに注目!撮影場所を制限された鉄道だけに降車指定駅以外での「走り」の写真はもしかして超レア!?


ウド谷出合いで列車を降り、作業機材を積み降ろすやさっそく鉄橋の撤去にかかりました。

まずは線路に降り積もった雪を箒で払い、鉄橋に落下防止のネットを張ります。

そうこうしていると、欅平で機回しをした作業列車が戻ってきました。
ターンテーブル(転車台)があるのか、ラッセルヘッドは宇奈月方に連結されていました。

ウド谷橋梁・下流側のトンネルに突っ込んだところで停止すると、「DD」のエンジンも止まりました。

これからいよいよ橋脚の撤去作業が本格化しました。

▼作業用の足場を確保するために橋の両脇にネットが張られる



▼ウド谷橋脚撤去作業全景。支柱が立てられワイヤーと滑車を設置されると作業は飛躍的に進む


▼台車を使ってレールを冬期保管場所のトンネルへと運び出す


▼枕木の撤去作業


作業手順は凡そ以下の通りだったと思います。

●レール搬出のための支柱、ワイヤー、滑車を設置

●レールを止めているボルトを緩め、取る

●台車を用いてレールを搬出

●枕木を抜き、搬出

●橋桁の撤去と搬出

撤去されたレールと枕木はそれぞれ鉄橋を隔てて両側にあるトンネルに格納されます。

この日は終日降雪が続き、時には吹雪となって外での作業を困難をきわめていましたが、手慣れているのか(!?)、着々と鉄橋は解体されていきました。

とくに鉄橋上での作業は降り積もった雪で足を取られそうで、見ていてもかなり大変そうでした。

▼撤去したレールと枕木はトンネル内に保管される


暗くなる前の15時過ぎには橋脚を残してほぼ鉄橋は解体されていました。

▼ウド谷全景。U字状の狭く急峻な谷あいは「雪崩の巣」であることが素人目でも分かるよう


作業の締めくくりはトンネルの入口に設けられた扉を閉めることです。

▼下流側のトンネルを閉めると作業も終わり。再び開けられるのは春を待ってから。トンネルの奥には作業用列車が停車中


最初に上流側が、続いて下流側の扉が閉じられると作業はオーラスに。

現場に到着してから5時間あまり、降りしきる雪と寒さの中での撤去作業は終わりを迎えることができました。

宵闇の中、再びトロッコ列車に乗り込み宇奈月へと向かいました。

私にとって長いようで、あっと言うまに過ぎた黒部峡谷鉄道・冬じたくの取材も無事、終えることができました。

取材する私も、レンズに雪が吹き込んだり、手が寒さでかじかんだリしてなかなか大変でしたが、それ以上に得るものは大きかったように思えました。


*黒部峡谷鉄道(富山県黒部市にて)
NikonF5+35mm、50mm、105mm、80〜200mm(RDP3)
2001.12.15撮影
『鉄道ファン』2008.02掲載「冬を迎えた黒部峡谷鉄道」と一部内容重複(了解済み)



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