みすず刈る信濃の撮ってお記

只見線の六十里越え区間、只見〜田子倉〜大白川の間は、私の求めている鉄道風景、

自然と鉄道との共生がなんとも絶妙なのです。

1988年11月以来、20数年通い続けている、私のライフワークの場所。

文字通り人煙稀な地に鉄道を敷設し、ブナを主体とした原生林と新潟県側では破間川に沿って、

福島県側では田子倉湖畔をかすめて走る自然景観に恵まれた区間です。

昨年の７月の水害で会津川口〜大白川間が不通になっていましたが、比較的被害の少なかった只見〜大白川間はひと足早い、先月１日に復旧したのでした。

なんとも嬉しい報せでした。

もしかしたら、もうここを列車が走らないのでは!?

なんて思いはじめていただけに、再び列車が走るようになってホントひと安堵でした。

この秋、なんとかして訪問したいと思っていた矢先、11/4の飯山線のSL撮影で越後三山が見えていたので、一日滞在を延長したのでした。

明けて11/5、東の空には若干雲がかかっていたものの、浅草岳は新雪をまとい、

さらには田子倉周辺の原生林は、紅葉が今を盛りとしていました。

例年だととっくに樹々は葉を落としている時分なのに、今年は紅葉が遅れたお陰で矍鑠としており、

それに反して冬の訪れはいつも通りで、11月上旬だと言うのに田子倉で三段染め紅葉を見ることができたのは、結構奇跡に近いかもしれません。

只見沢の鉄橋でカメラをセッティング。

あとは小出から只見に向ってやって来る2422Dを画面に取り入ればよい算段でしたが…。

通過予想予定時刻の８時30分になっても列車は現れず、

最初は単なる遅れと思っていたのですが、それが10分、20分、30分経っても現れずで、

その間、浅草岳に陽射しが射し込み、新雪がまばゆいばかりに照らし出され、紅葉は彩りを増しているのに…、

さすがに只見駅を折り返す９時30分過ぎになっても列車が来ないとなると、異常だと気づき、

そうこうしているうちに只見方面から国道をジャンボタクシーが通りかかったのですが、

そのフロントガラスには「列車代行」と、一瞬ではありましたが、読み取れ、

朝の１往復がウヤ（運転休み）だと気づかされ、ここでの撮影をいったんは断念したのでした。

六十里越えを越えて、ケイタイの電波が入る大白川駅に到着して、運行を確認すると午後の便は通常通りとのこと。

加えて空には西から雲が広がってきて、もしかしたらリベンンジが計れるかも!?

と、思い始めました。

陽射しのある時、午後２時を少し回ると翳ってしまう只見沢の鉄橋、

高曇りになったことで光が均一に拡散され、新雪の浅草岳と紅葉の田子倉、そして列車を撮ることができるかもしれない、と仮説を立てたのでした。

再びクルマを田子倉へと方向転換して、三たびの六十里越えで福島県入り。

朝、カメラをセットした位置でもう一度カメラをセッティング。

15時過ぎの時間帯とあって、ISO感度は上げざるを得ませんが、曇天のお陰で山と紅葉との露出差もさほどではなく、

小出に向う2425Dをなんとか新雪の浅草岳と紅葉とを取り入れて撮ることができました。

列車はこの絶景を乗客に見せようとしてか、まさに徐行運転で只見沢を渡っていき、

お陰で比較的遅いシャッター速度で切れた分、少し絞ることができました。

太陽光はないものの、とにかくこの場所でこのコラボを撮ることができて嬉しさひとしお！


＊只見線・田子倉〜大白川（福島県只見町）
NikonD700+VR24〜120mm
2012.11.5撮影


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